彼氏彼女の事情の感想

古い作品ですが、久しぶりに読んだら面白くて、一気見してしまいました。

彼氏彼女の事情1巻-ニコニコ静画(電子書籍)


この作品は兎にも角にもキャラクターがすごい。容姿・才能に恵まれているスーパーリア充しか出てこない。しかもそれなのに、全員が自分の才能に奢ったりせずに自分の性質を客観的に評価して受け入れて達観している。聡明という言葉がぴったりな、そんな超高校生たちのお話。そしてちゃんと一人ひとりにサイドストーリーが用意されていてボリューム満点に描かれている。

ちなみにそのリア充軍団に入れてない人達はもはやノッペラボウとしてしか描かれてません。凡人は物語の脇役になることも許されない。超格差社会です。


もしかしたらそれは好き嫌いあるのかもしれないけど、僕はそんなキャラクター達が本当に好きだ。

僕みたいなオタクにとっては、リア充を身近に感じることが出来る作品かもしれません。たぶんリア充に憧れてるオタクの人は、読むと面白いんじゃないかなと思います。


またそうでなくても、物語冒頭から「彼氏彼女になりました」のところまでは極上のラブコメディだと思うので、そこは誰が読んでも面白いんじゃないでしょうか。


久しぶりに読んで、中高生の頃にこれにドハマリしてた事を思い出しました。すごい作品です。宮沢雪野が好きです。



宮沢雪野はこの物語の主人公なのですが、これが本当良いキャラクターです。学年トップの優等生なのですが、その実態はただ褒められると気持ち良いというだけの理由で血の滲む努力により優等生を演じている変態、という設定がいいです。

ここには努力によって成りたい自分になれるという希望があります。また、物語途中でそんな仮面優等生ではいけないと気づいて素の自分に戻ろうとするのですが、それまで努力の末積み上げてきた仮面優等生のスキルがフィードバックされて、結果として「変態で優等生」になってしまうところが良いです。

このフィードバックというのはけっこう大切で、前回書いた中二病でも恋がしたいの「中二病になりました/やめました」みたいな話ではなくて、仮面優等生だろうが中二病だろうが今までの自分は全て自分に蓄積されていくということです。そこが描かれている所が、宮沢雪野が好きな理由です。