ホリエモンが捕まった理由 オリンパスとの比較

オリンパスが総額1000億円を超す慢性的な粉飾決算を繰り返したというニュースが話題ですが、刑事告発はしないで課徴金だけで済ませようという検討がされているらしいです。

オリンパスに課徴金、法人の刑事責任は見送りも:社会:YOMIURIONLINE(読売新聞)


さてさて、粉飾決算といえばライブドア堀江貴文さんが有名ですね。社長の堀江貴文さんは有罪で実刑を受けて現在服役中です。

しかしライブドアがどのような犯罪を犯して有罪になったのか知らない人が多いのではないでしょうか。その内容はざっくり以下のような感じみたいですね。詳しく知りたい方はwikiとかにも載ってるのでぐぐってみてください。


・ある企業を買収した際の株式交換比率を不正に決定した。

ライブドアが他の企業を買収すると、買収された企業の株は全部ライブドアが引き取ります。その時に、買収された側の企業にも株主が当然いるので、その株主に対して代わりに元々持っていた株と同じ価値分だけライブドア株が配られます。

この時に、買収された企業の1株あたりに対して、ライブドア株をどれだけ配るかの比率を株式交換比率といいます。

買収された企業の株を2株持っていた株主に対して、ライブドア株を1株を配れば、株式交換比率は0.5ということになります。


そして、ライブドアはマネーライフという会社を買収した際の株式交換比率を不正に高く決定したんじゃないかと指摘されました。

株式交換比率が高いとはどういうことか上記の例と比較してみると、もともと2株持っていた株主に対してライブドア株を2株配ると、株式交換比率は1.0になり上記よりも大きくなった事になります。

本来株式交換比率というのは買収された側の企業価値を考えて客観的公正に決められないといけないのですが、これを不当に高くしたということです。

株式交換比率を実際のマネーライフの価値よりも高く設定することで、より多くのライブドア株がマネーライフの株主に配られる事になりますから、ライブドア時価総額が不当に大きくなる事になって、これが投資家を騙す行為じゃないかと言われてます。



・不当な利益を計上し、赤字決算を黒字化した。

2004年の決算の時に、実際は3億円の赤字だったのに50億円の不正な利益を計上して黒字化させたということで、有価証券報告書虚偽記載という罪に問われてます。

このうちのほとんどの37億円が自社株売却益の利益計上というものです。その名の通り、ライブドア株を売買して得た利益を売上に計上していたということで、これが虚偽記載と指摘されました。


ホリエモンによると、事の顛末は以下のようだったようです。あくまでホリエモンの証言ですが、少なくとも事実関係には嘘はないと思います。


ライブドアはある企業を買収した際に、対価はライブドア株じゃなくて現金でくれと言われました。でもライブドアはその時現金をあまり持っていなかったので、小会社のライブドアファイナンスというところに自社株を売りつけて、それで得た現金を支払に使いました。

そうするとライブドアファイナンスはたくさんのライブドア株を買わされた事になりますが、自社株を持っていてもしょうがないので、それを市場で売ろうとします。幸か不幸か(結果としてライブドアにとってはこの上ない不幸になりましたが)、そのタイミングでライブドア株の株価がどんどん上がっていき、ライブドアファイナンスライブドア株を売り終えたらなんと37億円も儲けてしまったのです。

37億円も儲かってしまったので、決算の時にこれを売上に計上しました。ところがこれが間違っていて、法律上は資産に計上しなければいけなかったのです。


ということみたいです。
検察としてはこれをわざとやったんじゃないかという指摘です。ホリエモンとしたら、儲かったお金を売上に計上しちゃ駄目なんて知らなかったということです。



上記がホリエモンが今檻の中に入っている理由です。


さて、ではオリンパスは何をしたのでしょうか。


オリンパス粉飾決算

ちょうど日本のバブル崩壊の頃から、オリンパスも例に漏れず投資で多額の損失を出していました。それをそのまま公表してしまったら大赤字がバレてやばいです。

困ってしまったオリンパスは、(今のところ方法の詳細は分からないようですが)投資助言会社「AXES」という会社へ他の企業を買収出来た成功報酬を支払う際に、この支払い経路に何らかの細工をして、投資で失敗した多額の損失を有価証券報告書に記載しなくても済むようにしたということです。

おそらく、保有している価格が低くなってしまった有価証券を、「AXES」へ報酬として支払う際に元々の価格として扱っていたということでしょうか。

いずれにせよ、結果としてどうでもいいような会社をがんがん買収していたり、「AXES」への報酬の金額が常軌を逸して大きくなってしまったため、なんかおかしいんじゃね?ってなってこの事件が明るみに出る事になりました。


とにもかくにも、長期に渡って損失隠しを繰り返し、総額1000億円以上の粉飾となってしまったようです。



以上がライブドアオリンパスの事件のざっくりとした内容です。

さて、冒頭の話に戻ると、「ライブドア上場廃止、社長は有罪実刑」で「オリンパスは課徴金のみで刑事告発無し」になりそうとのことです。


うーん、どう見てもライブドアよりオリンパスの方が悪質に見える(何より金額が桁違い)のですが、オリンパスライブドアよりも遥かに軽い制裁で済みそうな感じです。

いやー世の中って不思議な事がたくさんありますね。